倦怠期の期間
訪れやすい時期と、どのくらい続くのか
- 倦怠期が訪れやすいとされる典型的なタイミング(3年目・7年目・出産後)の背景がわかります
- 倦怠期がどのくらい続くのか、軽い倦怠感から長期のものまで期間の目安を整理して理解できます
- 「我慢する時期」ではなく「関係を整え直す時期」として捉え直すための、具体的な観察視点が身につきます
「もう3年目だから、そろそろかな」「7年目って本当にくるものなの?」——ふとした瞬間、そんな疑問が胸をかすめること、ありませんか。カレンダーを見ながら、うちはいまどのあたりにいるんだろう、と考える夜。
「倦怠期は、いつごろ訪れるのか」「どのくらい続くのか」——多くの方が抱くこの疑問には、長年語られてきた目安があります。ただし、ここで強調しておきたいのは、これらはあくまで平均的な傾向であり、関係それぞれの固有の歩みを否定するものではないということです。
この記事では、倦怠期が訪れやすいとされる典型的なタイミングと、どのくらい続くのかについて、やわらかく整理していきます。倦怠期そのものの定義についてはこちらでまとめています。
恋愛初期の情熱はいつまで続くのか
付き合った当初、相手からのメッセージが届くだけで心臓が跳ねた感覚。あの高揚は、いつのまにか落ち着いていたりします。「冷めた」わけじゃないのに、なんとなくトーンが下がった気がする——そんなふうに感じたこと、あるかもしれません。
脳科学の知見として、恋愛初期に活発に分泌される、いわゆる「ときめき系」の神経伝達物質は、おおむね18ヶ月〜3年の間に落ち着いていくことが示されています[1]。これは「気持ちが冷めた」のではなく、脳が「日常を共有する関係」に最適化されていく自然な変化と言われています。
このタイミングが、いわゆる「3年目の倦怠期」が語られる脳の働きの背景のひとつなんですね。情熱の波が穏やかになり、安心感や信頼を支える働きが前面に出てくる——いわば、関係の重心が移ろう時期なのです。
「3年目」の倦怠期——慣れが積み重なる時期
朝の「いってらっしゃい」も、夜の「おやすみ」も、ぜんぶ台本が決まっているみたいに流れていく日々。悪くない、けど、なんだか物足りない——結婚3年目あたりで、そんな感覚に立ち止まる方は少なくないようです。
付き合いはじめてから2〜3年、もしくは結婚から2〜3年のあたりで多くの方が経験する停滞感は、上記のような神経の働きの変化に加え、ライフスタイルの慣れが重なって起こります。
- 会話の話題が一巡し、新鮮味が薄れる
- ふたりの役割分担が固定化する
- 「これからどう過ごしていくか」を語る機会が減る
このタイミングの倦怠期は、しばしば関係を見つめ直し、新しい習慣やコミュニケーションのリズムを取り入れる機会にもなります。
「7年目」の倦怠期——生活の変化が重なる時期
子どもが小学校に上がり、仕事では役職が変わり、実家の親のこともなんとなく気にかかりはじめる——そんな時期に、ふと相手を見て「あれ、私たちしばらくちゃんと話してないかも」と気づく瞬間があったりします。
「7年目の浮気(seven-year itch)」という言葉があるように、関係から7年前後で訪れる第二の倦怠期も古くから知られてきました。関係科学の研究は、長期的な親密な関係には相互依存と段階的な変化があり、関係が時とともに整え直されていくことを概念的に整理してきました[2]。
このタイミングは、子育てのピーク・キャリアの転換期・親世代の介護開始など、ライフステージの大きな変化が重なる時期と一致することが多くあります。
出産後の倦怠期——生活の構造が変わる時期
夜泣きで細切れの睡眠。ふたりで映画を観ながらワインを飲んでいた夜が、遠い昔のように思い出せなくなる。相手に悪気があるわけではない、こちらも疲れているだけ——でも、気づけばふたりの会話は子どもの話ばかりになっている、というような時期です。
第一子の出産後は、夫婦関係の満足度がもっとも揺らぎやすい時期のひとつです。長期的な夫婦研究では、第一子出産後3年以内に、相当数の夫婦が関係満足度の低下を経験することが示されています[3]。
これは「関係が壊れた」のではなく、ふたりの生活の構造そのものが大きく変わるからこそ起こる自然な揺らぎなんですね。役割が増え、睡眠不足が続き、ふたりだけの時間が物理的に減るなかで、これまでのコミュニケーションパターンが機能しづらくなるのです。
ご自身の関係のいまの温度感を
20問のセルフチェックで見つめ直してみませんか?
倦怠期はどのくらい続くのか
「これって、いつまで続くの?」——夜、ふと不安に襲われる方は少なくありません。トンネルの終わりが見えないと、途中で心が折れそうになる。せめて目安が知りたい、そんな気持ちで、この段落を読まれているかもしれません。
倦怠期の継続期間にも個人差が大きく、明確な「平均値」を示すことは難しいのが実情です。ただ、いくつかの目安として知られているのは次のとおりです。
- 軽い倦怠感:数週間〜数ヶ月で自然に落ち着くことが多い
- 関係パターンの転換期:半年〜1年かけて少しずつ整っていく
- ライフステージ変化と重なる倦怠期:1〜3年かけて新しい関係の形を見つけていく
これは「我慢しなければならない期間」ではありません。むしろ、関係を整え直すための時間と捉え、無理に「元に戻そう」とするのではなく、いまのふたりに合う関係の形を、ゆっくりと描き直していく期間と理解するほうが、心の負担は軽くなることがあります。
「自然に終わる」とは限らない——固定化のリスク
「そのうちなんとかなるだろう」と、忙しさに紛れて過ごしていたら、気づけば半年、1年、あっという間に月日が流れていた——そんな話を耳にすることも少なくありません。時間が解決してくれることもあれば、時間がそのまま距離を固定化させてしまうこともあります。
一方で、倦怠期が放置されたまま、互いの会話や思いやりがほとんど失われ、長期にわたって停滞している場合は、関係が「冷却」「並走」「距離拡大」の方向へと固定化されてしまうことがあります。これは個人の責任というより、コミュニケーションの構造が変わってしまった結果です。
ご自身の心がすでに長く疲れているように感じる場合や、対話そのものが難しくなっている場合は、信頼できる場所(公的な相談窓口・専門家)に話を聴いてもらうことも、ひとつの選択肢として大切にしてください。
本サイトの20問のセルフチェックは、いまのご関係を4つのタイプ × 5段階の温度感で描き出すように設計されています。「自分たちはどの段階にいるのか」「どの方向に少しずつ歩いていきたいのか」を、判断を急がず見つめる手がかりとしてご活用ください。
参考文献・出典
- Fisher, H. (2004). Why We Love: The Nature and Chemistry of Romantic Love. Henry Holt and Company. ↩
- Kelley, H. H., Berscheid, E., Christensen, A., Harvey, J. H., Huston, T. L., Levinger, G., McClintock, E., Peplau, L. A., & Peterson, D. R. (1983). Close Relationships. W. H. Freeman. ↩
- Gottman, J. M. & Gottman, J. S. (2007). And Baby Makes Three: The Six-Step Plan for Preserving Marital Intimacy and Rekindling Romance After Baby Arrives. Three Rivers Press. ↩